ゲートなやつら
五十嵐さんの日誌:
http://www.cybermetric.org/50/twisted_column/index.html
からのリンク:
http://www.jah.ne.jp/~linelabo/books.htm
「セキュリティ戦争の空間」。
アメリカのゲーテッドコミュニティという「ビルディングタイプ」の系譜は意外に古いんじゃないか、と僕は思う。
19世紀後半、セントルイスで発達した「プライベートプレイス」という住宅地の形式は、街路の入口にゲートを設けて住宅地まるごとのセキュリティとステイタスを図った点で、まるっきり今日のゲーテッド住宅地と同じやりかたで作られた。これは当時のセントルイスの急激な都市化に対する、住宅地の工夫だと言われている。静かで安全で豊かな住宅地を街の喧噪(あるいは新規移民の喧噪)から遮断して守りたいというお金持ち(というかワスプのお金持ち)の欲求はいまもむかしも変わらない。
加えて、あえて「ゲーテッド」にせざるを得なかった背景には街の構造と「交通」があった。鉄道馬車が主な交通手段で、かつダウンタウンへのアクセスを確保するためには、市街地に近いところに住むしかなかったからだ。だから、20世紀半ば以降、自動車とハイウェイが発達し、おまけに街の機能が郊外に拡大して必ずしもダウンタウンに用事がない、という時代になると、お金持ちのためのプライベートプレイスはぱったり作られなくなった。特に中西部のように背後に広大な土地のある都市であれば、住宅地を「要塞化」しなくったって、田舎へ引っ越せばいいからだ。
むしろ市街地にある中産階級の住宅地にゲートが設けられてプライベートプレイスに改造されたりするようになった(90年代には、街の再生の方法として住宅地のゲート化が試みられたりもした)。
そして、このプライベート住宅地のさらなる原型は、ロンドンにあるような、コミュニティが鍵を共有するプライベートガーデン(スクエア)に遡るんじゃないか、という話もある(Charles C. Savage, ARCHITECTURE OF THE PRIVATE STREETS OF ST. LOUIS, University of Missouri Press, 1987)。これはこれで、住宅地の個人的空間と公共的空間の工夫とか、なかなか興味深い事例がいろいろとあるんだけれども。
えーと、つまりこれは根が深いかもしれないぞ、という話なのだ。
「ワスプとゴリラを掛け合わせたら何が生まれるか? 何が生まれるにしろ、とにかくそいつはあなたを檻に入れてくれない」(どっかで読んだジョーク)


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